「君の名は。」から分かるクチコミの重要性 /新ヒットの方程式 著:物延秀
こんにちはしょうちゃんです。
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新ヒットの方程式という本を読んでいたのですが、
『君の名は。』がヒットした大きない理由がクチコミであると記述しており、
大変興味深かったので記事にしてみました。
一般的に映画作品のマーケティングではヒットを導く要因に
潜在ユーザー数と作品のクチコミ数
の2つが大きな要因であると述べています。
2016年の年間映画興行収入ランキングを見てみると
スターウォーズやゴジラ、ディズニーと潜在的ユーザーが多い映画がTOP5にランクインしているのが分かります。
参考:映画大好き!CINEMAランキング通信 興行通信社Presents 歴代ランキング 出典:興行通信社
新海誠の作品は潜在的ユーザー数でみると圧倒的に劣っているように見えるのですが、
実は潜在ユーザー数を増やすきっかけが「君の名は。」にはありました。
それは
RADWIMPSとのコラボです。
アニメーションの制作段階からRADWIMPSの楽曲と映像の世界観を綿密に折り重なるように作っていったそうです。
それによって予告編動画が公開されるとネット上でカバー演奏やパロディ動画が多数アップされ始め、中には1000万再生される動画もあったそうです。
こういった本来消費者であるはずのユーザーが生産者側に回ることでメディア的な影響力を持ち始め、潜在的なユーザーを増やす大きな要因になったと言えます。
それによって上映前の段階からSNS上で沢山のユーザーが反応し始めクチコミ数が伸びていきました。
公開前のクチコミ数はデータとしてないのですが、
公開から1か月のデータを見ると君の名は。のクチコミ数がとんでもないことが分かります。
各映画の公開日から1か月間のクチコミ数
参照:Twitter
上記の表で見てわかるようにクチコミ数は2位にトリプルスコア以上と圧倒しているのが分かります。
実は「君の名は。」のクチコミを分析してみると約半数がRADWIMPSに関わるクチコミだったそうです。
上映前はRADWIMPSに関するクチコミで潜在ユーザーを増やし、
上映が始まると映画の内容やアニメーションに関わるクチコミへと種類が変わっていったそうです。
これによってまた違った種類のクチコミが集まり、人気に火がさらにつくと、
なんか人気だから見てみようと思うユーザーが映画館に足を運ぶようになります。
最終的にクチコミの種類としては「2回目は母と」や「もう3回目」などリピートに関するクチコミが増えていったとのことです。
クチコミの種類が段階ごとに変わっていくことで、それが1to1マーケティングのように広告効果の対象が異なるユーザーに伝染していくことで大きな社会現象につながったと言えます。
つまり今までならマスメディアの広告でどれだけ優秀なクリエイティブを作って一方的に発信していくかが重要だった中で、「君の名は。」はその概念を覆す作品であったと言えます。
映画評論サイトのようなレビューする看板広告のような面だけでなく、SNS上を活用した多方面からのクチコミの活用が今後色々なマーケットで効果をあげていくんだろうなと実感しました。